トップページ > 熊弁の意見 > 死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度についての全社会的議論を求める会長声明

くま弁だより

熊弁の意見

死刑執行に強く抗議し,改めて死刑執行を停止し,死刑制度についての全社会的議論を求める会長声明

 2017年7月13日,大阪拘置所と広島拘置所において各1名に対して死刑が執行された。金田勝年法務大臣による2回目の執行であり,第2次安倍内閣発足以降,死刑が執行されたのは,11回目で,合わせて19名になる。
 当会は,2015年9月14日,上川陽子法務大臣(当時)に対し,「死刑に関する全社会的議論を呼びかける意見書」を提出して,死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し,死刑制度に関する世界の情勢について調査の上,調査結果と議論に基づき,今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと,そのような議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止すること等を求め,その後も死刑執行に抗議する声明を出していた。
 また,日本弁護士連合会は,2016年10月に開催した人権擁護大会において,2020年までに死刑制度の廃止を目指す「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を賛成多数で決議している。
 このような状況における死刑の執行は極めて遺憾であり,当会は改めて死刑執行に強く抗議する。
 2014年3月,静岡地方裁判所が袴田巖氏の第2次再審請求事件について,再審を開始し,死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。現在,東京高等裁判所において即時抗告審が行われているが,もし死刑の執行がなされていたならば,まさに取り返しのつかない事態となっていた。袴田氏は48年ぶりに釈放されたが,現在でもその心身に不調を来している。誤判・えん罪の危険性は現実的なものであり,誤って死刑を執行するおそれは否定できない。今回,大阪拘置所において死刑執行された者は再審請求中であり,この点についても強く抗議する。
 死刑の廃止は国際的な趨勢であり,世界で死刑を廃止又は停止している国は141か国に上っている。2016年末時点で死刑を存置している国は57か国であるが,2016年に実際に死刑を執行した国は更に少なく,日本を含め23か国であった。国際人権(自由権)規約委員会は,2014年,日本政府に対し,死刑の廃止について十分に考慮すること等を勧告している。
 当会は,これまでの死刑執行に対しても強く抗議してきたところであるが,今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに,改めて死刑執行を停止し,死刑に関する情報を広く国民に公開し,死刑制度の廃止についての全社会的議論を求めるものである。

2017年(平成29年)7月19日
熊本県弁護士会
会 長  宮 田 房 之

2017/07/19