トップページ > 熊弁の意見 > ハンセン病家族訴訟熊本判決を高く評価し国に対し控訴の断念を求める会長声明

くま弁だより

熊弁の意見

ハンセン病家族訴訟熊本判決を高く評価し国に対し控訴の断念を求める会長声明

 令和元年6月28日、熊本地方裁判所は、ハンセン病であった者の「家族」ら561名が原告となり提起したいわゆるハンセン病家族訴訟において、ハンセン病隔離政策が病歴者本人のみならずその家族らに対しても違法な人権侵害であったことを認め、国に対し賠償を命じる判決を言い渡した。
 国の隔離政策により作出され助長されたハンセン病に対する差別偏見は、患者本人だけでなく、家族らも確実にその渦中に陥れてきたのであり、家族らは、偏見差別をおそれるあまり秘密を抱えて生きることをも強いられ、まさに人生の有り様を変えられてしまう「人生被害」を受けてきた。本判決は、そのように家族たちが差別を受ける地位に置かれ、また家族関係の形成を阻害されたとして、憲法13条の保障する人格権侵害及び憲法24条の保障する夫婦婚姻生活の自由の侵害により共通する損害が発生したことを認めたものであり高く評価できる。
 また本判決は、らい予防法及びそれに基づく隔離政策が、病歴者の家族に対しても違法であったとして、厚生大臣及び国会議員の責任を認めたのみならず、らい予防法廃止後にも厚生大臣及び厚生労働大臣、法務大臣並びに文部大臣及び文部科学大臣に対し、家族に対する差別偏見を除去すべき義務に反した責任を認めた点で画期的である。
 国はハンセン病国家賠償訴訟熊本地裁判決(熊本地方裁判所平成13年5月11日判決)において控訴を断念する英断をおこなったが、当会は国に対し本判決においても控訴を断念するよう求める。

2019(令和元)年7月3日
 熊本県弁護士会
 会 長 清 水 谷 洋 樹

2019/07/03