トップページ > せいかつQ&A > 勤め先が借金を給料天引き(熊本日日新聞 2014年7月16日付)

くま弁だより

せいかつQ&A

勤め先が借金を給料天引き(熊本日日新聞 2014年7月16日付)

Q 勤め先から借金した際に、「給料から天引きされても異存はありません」という念書をとられました。他の借金などもありますが、会社を辞めようとする場合、この念書は有効なのでしょうか。

A 原則として無効です。労働基準法24条は「賃金は、通貨で、直接労働者に、その金額を支払わなければならない」と定めていますので、上記のような天引き予約(総裁予約)は、無効と解されるのです。したがって、給料から賃金を天引きすることは許されません。
 ただ、在職中に「念書は無効だから給料を全額支払え」というのは、会社の不興を覚悟する必要があるでしょう。裁判になるパターンとしては(1)従業員が借金したまま退社、念書は有効だとする会社から天引きされた結果もらえなかった給料や退職金を、裁判で会社に請求する場合(2)従業員に対する他の債権者が当人の給料や退職金を差し押さえたために、会社がこれに対抗して、天引きが優先すると主張する場合-などです。
 天引き予約が有効だったかどうかの判断は、裁判所がすることとなります。会社が負ける可能性は大きいでしょう。
 例外的に天引き予約が有効な場合もあります。会社が従業員のために、退職金を引き当てに長期・低利の融資制度を設けていて、その制度で貸し付けがなされ、退職時にあらためて同意のもとに相殺をしたような場合です。

弁護士 舞田 邦彦

借金 , 労働問題 2014/07/16