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くま弁だより

せいかつQ&A

「全財産を兄だけに」と遺言(熊本日日新聞 2016年11月16日)

 Q 母が亡くなり、財産の全部を兄に贈与するという遺言書が見つかりました。相続人は、兄と弟である私の2人だけですが、私は一切相続できないのでしょうか。

 A あなたは遺留分権を侵害された相続人であり、遺留分権利者として、お兄さんに対し、遺留分減殺請求権を行使して相続財産の一部を取り戻すことができます。

遺留分権とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、親など)が相続財産に対して取得することを保証されている権利のことであり、被相続人が他の人に生前贈与や遺贈(遺言書による贈与)をしても奪われることのないものです。
 遺留分権の割合は、相続人が誰であるかによって異なります。あなたの場合は子2人だけが相続人ですので、あなたの遺留分権の割合は、本来の相続分である法定相続分(2分の1)の半分の4分の1です。したがって、あなたはお兄さんに対して、遺留分減殺請求権(遺留分権にもとづく取り戻し権)を行使することにより、相続財産の4分の1に該当する財産を取り戻すことができます。
 ただ、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、被相続人が死亡したことと、生前贈与または遺贈があったことを知ったときから、1年以内に請求しないと、時効により消滅してしまいます。また、生前贈与や遺贈の事実を知らずに被相続人の死亡から10年経過した場合も消滅してしまいますので、くれぐれもご注意ください。
                          弁護士 益田敬二郎