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くま弁だより

せいかつQ&A

不倫して家出した妻と子の生活費(熊本日日新聞 2017年7月26日付)

 Q 専業主婦だった妻が、不倫のあげく幼い子どもを連れて家出しました。戻って来ないだろうと思い離婚を求めると、逆に妻と子どもの生活費の支払いを請求されました。支払う義務があるのでしょうか?

 A 離婚などで別居しても、夫婦が互いに同レベルの生活を送ることができるよう、経済的に助け合う生活保持義務を「婚姻費用の分担」と言います。一般的に、妻が専業主婦で収入は夫のみの夫婦が別居したケースでは、妻から夫に対し、この婚姻費用の分担を求める請求権が認められます。具体的な金額は、夫の年収、子供の人数、年齢などの事情を踏まえて決めます。
 しかし、配偶者が不倫のあげく婚姻関係を一方的に破綻させたような場合は、いわゆる「有責配偶者」として扱われます。有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。このことは、ご存じの方も多いでしょう。それでは有責配偶者からの婚姻費用の分担請求は認められるでしょうか?
 多くの裁判例では、信義則違反あるいは権利濫[らん]用として認められないと判断されています。なお、最低限度の生活を維持する、として認めた裁判例もあります。ただし、いずれの場合も子どもの養育費に相当する部分に限っては認めています。
 ご相談のケースは、婚姻関係が破綻したと言えるか、妻が有責配偶者と言えるか、といった点が大きな争点になります。専門家に相談することをお勧めします。

弁護士 内川寛