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くま弁だより

せいかつQ&A

亡くなった夫の預貯金(熊本日日新聞 2019年4月24日付)

 Q 夫が亡くなりました。亡くなると夫名義の預金は凍結されると思っていたのですが、法律が変わって、払い戻しができるという話を聞きました。

 

 A 預貯金債権は遺産分割の対象です。相続人が複数の場合は遺産分割協議が成立するか、相続人全員が同意しない限り、預貯金の払い戻しはできません。しかし、これでは当面の生活費に困ったり、葬儀費用を用意できなかったりしてしまいます。そこで、遺産分割協議が成立する前でも、一定の預貯金を払い戻せる制度が2018年7月に新設されました。
 相続人は、預貯金額の相続分に3分の1を乗じた額を、単独で権利を行使する(払い戻す)ことができます。ただし、金融機関ごとに150万円という上限が設けられています。払い戻すと、遺産の一部を分割して取得したと見なされます。
 例えば、A銀行に預金が900万円あるとします。相続人が妻と夫の母の2人とすると、妻は150万円を単独で払い戻すことができます。相続分は妻が3分の2で、3分の1を掛けると200万円になりますが、1銀行当たりの上限は150万円だからです。
 法律の施行日は19年7月1日なので、被相続人がその日より前に亡くなった場合は適用されません。しかし、施行日前の相続についても、施行日後に請求すれば預貯金を払い戻せます。被相続人が亡くなってしまった方で払い戻しを希望される場合は、7月1日以降に請求してください。金融機関ごとに150万円を上限に払い戻すことができます。

弁護士 福山素士