ADRとは、裁判によらない紛争解決方法をいいます。
弁護士会のADRは、弁護士が、中立の立場で「和解のあっせん人」となって、当事者の言い分をよく聞いて、ときには、双方に、有益と思われる「あっせん案」を提示するなどして、当事者間での自主的な解決、すなわち、和解による解決を援助、促進する手続です。
このように、弁護士会ADRは、話し合いによる円満な解決を目指す手続です。
様々な紛争に関して、当事者間で話し合いの余地があって、双方が、弁護士という法律の専門家から事情に応じた法的助言を得ることで、互いに歩み寄る可能性があるような事案に有効であるといえます。
「災害ADR」とは、当初、「平成28年熊本地震」に起因する紛争の解決に関して、熊本県弁護士会のADRを利用する方々の経済的・手続的負担を軽減するため設けられた手続きです。その後、令和2年4月からは、「新型コロナウイルス感染症」に起因する紛争にも適用されることになりました。
「平成28年熊本地震」に起因する「災害ADR」につきましては、令和2年6月末現在、145件の申立てがなされ、多くの被災者の皆さま方の生活再建にご活用いただいています。
「新型コロナウイルス感染症」に起因する紛争につきましても、イベント中止に伴う費用負担に関するトラブル、新型コロナウイルスの影響による解雇等、労働関係のトラブル、収入の減少により家賃が払えない等の賃貸借関係のトラブル等、様々なトラブルの発生が予想されますので、そのようなトラブルでお困りのときは、「災害ADR」を是非ご活用ください。
熊本県弁護士会のADRをご利用される場合には、申立手数料として、通常、申立てをされる「申立人」に10,000円(消費税別)をご負担頂いていますが、「災害ADR」では、一律に、これを無料とします。
また、紛争が解決した場合には、申立人と事件の相手方との当事者折半にて、一定の基準での成立手数料をご負担頂きますが、「災害ADR」では、被災された状況などを考慮し、事情に応じて、減額することも検討いたします。
申込用紙に、所定の事項を記入していただき、熊本県弁護士会紛争解決センター宛に郵送またはFAXしていただくだけで簡単に申込みができます。
申込用紙を受理した後、担当弁護士(サポート弁護士)が選任され、同弁護士が利用者の方から申立ての内容を聞き取り、利用者の方に代わって申立書を作成しますので、利用者の方が自分で申立書を作成する必要はありません。
相手方が要請に応じずに、話し合う機会を持てない場合には、手続を進められないことから、手続は終了いたします。
和解による解決金の額 | 成立手数料の算出基準 |
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100万円以下 | 8% |
100万円超~ 300万円以下 | 5%+ 3万円 |
300万円超~3000万円以下 | 1%+15万円 |
3000万円超 | 0.5%+30万円 |
ただし、被災された状況を考慮し、事情に応じて、減額することも検討いたします。